愛情とお弁当

子育て

子供達が中学時代、毎日お弁当だった。

食べ盛りの子供達に作るお弁当に、親たちは四苦八苦していた。

クラス一番のお弁当

班になって食べるお弁当は、嫌でもその家庭事情がわかる。

彼の持ってくるお弁当はクラスで一番

娘がそういった。
みんなも同じ意見だと。
理由は、食べた事ないけど美味しそうで彼に合った量と内容のおかずらしい。

もちろん、インスタントは見当たらない。

横断歩道の旗当番で彼のお母さんと話す機会があった。
親しみやすく、気持ちに余裕のあるお母さんと言う印象だった。

中学を卒業し何年も経ち、彼の名前をド忘れしても

「ほら、お母さんのお弁当が一番美味しそうな子だよ」

と言って思い出すくらい、彼の知らないところで印象深く残るお弁当。

それは、彼が母親に愛されて育っている事を彼のお弁当から
みんなが感じ取っていたからに違いない。

我慢のお弁当

バレー部所属で育ち盛りの男の子がいた。

ただ、いつも怒っていた。
クラスメイトは初め、それが何故かわからなかっった。
けれど、お弁当を食べ始めると理由はすぐ飲み込めた。

彼のお弁当は黒い2段弁当だが、ご飯もおかずもスカスカ状態で入っていた。
ご飯は薄く伸ばしてあり、おかずはカップに入った冷凍食品が3つ。
聞くと、自分で詰めてくると言う。

彼の家は母子家庭で多くの事に困っている様子がお弁当から伺えた
お腹もすけば、怒りたくもなる。

そして、親からの愛情がない事をクラスみんながスカスカのお弁当から察していた

クラスメイトは怒りん坊でかまってちゃんの彼に気を使い、刺激しなかった。

そっとしておくのが、自分人達にできる精一杯のこと

と誰しもが思っていたからだ。

お弁当が起こす色々

上記二つの話しは、給食ではあり得ない出来事だった。

親は、「早く給食にならないかしら」と皆口にした。

けれど子供と喧嘩した翌日、「日の丸」弁当にした事や「納豆のみ弁当」にした事を
息子は、「母ちゃんの逆襲」と呼び

クラスメイトは、「お前きのう母ちゃんの事、怒らせただろ」
と言ってきた。


そして、「ブロッコリーなんて腹の足しにならない。入れなくていい。スペースの無駄だ!」
と言われ、それ以降ずっと野菜なしの茶色弁当になった思い出は、給食では作れない

これを他人は親子のコミニケーションと呼び、仲がいいねとささやきあうが、
当人達にとってはただの親子喧嘩(負けられない戦い)でしかない。

しかし、今思う。
苦労した3年間は子供にお弁当を通して愛情を伝えた期間だった。

この思い出こそが、人生でかけがえのない宝だと

その後、寮生活を7年間送った後帰省して、大学院に通う為お弁当は再開するのだが

「美味しかったです、ありがとうございます。」

と言って返ってくるお弁当箱には米粒一つ残っていない。

まとめ

  • 子への愛情は面倒なお弁当作りで他者にも伝わる
  • 子供は愛のないお弁当には、敏感
  • お弁当は親子の愛情コミニケーション

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